歯医者さんが苦手になってしまう理由は、ほとんどの方が「怖い」「痛い」思いをされたご経験からではないでしょうか。
とはいえ、虫歯やお口の健康が傾いているとき、おひとりで解決することは難しいと言えます。病気になってしまったり、症状が悪化してしまう前になるべく早く専門家に診てもらうことが大切です。
そこで当院では、これまで歯医者さんが怖くてなかなかいけなかった方へ「笑気診療」をお勧めしています。
笑気とは非常に弱い麻酔の一種です。体内で分解されることがないため、健康への害もありません。
笑気の効果として全身の緊張がほぐれ、しばしばお酒によるほろ酔い状態と似ていると言われる状態になります。また痛みを感じにくくなる鎮痛効果もあり、この点が歯医者さんが苦手な方へ選ばれている理由かと思います。使用するときは酸素と混ぜて鼻から吸引している間全身の緊張や気分がほぐれた状態になります。
まれに「本当に安全なの?」というご質問をいただきます。結論から申し上げれば、笑気は安全なものです。笑気はこれまで長い間痛みを伴う治療や不安で治療が受けられない方に使用されてきました。麻酔と聞くとどうしてもアレルギーやその他のリスクを想像されがちですが、笑気は一般的な麻酔とは少し違います。麻酔との違うをご理解いただくうえで、笑気の特徴をご紹介してきます。
笑気には比較的強い鎮痛作用(痛みを感じにくくする)と弱い鎮静作用があり、全身麻酔とは違い意識ははっきりしたままで、痛みを感じにくくし心を落ち着かせる効果があります。
酸素と混ぜた笑気ガスを吸引すると、すぐに鎮静・鎮痛作用が現れます。吸引をやめるとすぐにその効果は消失していきます。一般的な麻酔が投与してから数分待つこと、効果の消失には時間がかかることに対し笑気は効果の現われ方も消失の仕方も早いと言えます。
笑気治療は肺や心臓に病気のある方でも安全にご利用いただけます。
一般的な麻酔は体の中で分解さるため、アレルギーやその他のお薬との相性を考慮する必要があります。しかし笑気は人体でほとんど分解されることなく体外へ排出されますので、肝臓にも負担をかけることがありません。
「痛みを和らげる治療なら、自費治療になるのでは?」とのお声をいただくことがありますが、ご安心ください。笑気診療は保険適応の治療です。通常一回の治療で30分程度使用すると、数百円のご負担で済みます。
通常、危険性が非常に低い笑気診療ですが、次のような方にはしようできない場合があります。少しでもお心当たりのある方は、必ず事前に申し出てください。
中耳炎の症状では、耳管と呼ばれる管が閉じている場合があります。すると笑気ガスを吸引した際、閉じている耳管に空気がたまり痛みを覚えることがあります。
網膜剥離のを受けると、目の中に医療用ガスを注入している場合があります。このような方が笑気を吸引すると、目に入っている医療用ガスと笑気が混ざってしまい、眼圧を上げてしまう可能性があります。
ラットを用いた実験において、胎児の奇形に影響を及ぼす可能性があるとの報告があります。安全のため、当院では笑気治療をお勧めしていません。
笑気吸引診療では、鼻から酸素と混ざった笑気ガスを吸引していただきます。これまでに過呼吸の発作を起こしたことがある方は、呼吸を意識しすぎてしまい発作を起こす可能性があります。
笑気ガスは鼻から吸引する方法で使用しますので、鼻づまりがひどい場合などはやむを得ず使用できない場合があります。また、お子様の方で口呼吸が癖になってしまっている場合などに、十分に効果が得られないことがあります。
当院ではあくまで患者様のご希望に沿う形で笑気診療を行っています。本治療をご納得いただけていない方への適用は致しておりません。